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アロマ基材 芳香蒸留水ハイドロソル
水蒸気蒸留法でエッセンシャルオイルを抽出するとき、植物に含まれる芳香・治癒成分の一部は、エッセンシャルオイルの中には蒸留されません。しかしその成分は失われるわけではなく、オイル抽出に用いられる蒸気や水に吸収されています。
蒸気は最終的に液化して水になりますが、この水のなかには少量のエッセンシャルオイルと、植物の水溶性成分が多く含まれています。この香りの水（芳香蒸留水）はエッセンシャルオイルに含まれていない成分も含む幅広い治療、美容効果を持つ、安全で便利な製品になります。これがハイドロソルです。
芳香蒸留水の呼称
エッセンシャルオイル抽出の副産物としてできる蒸留水は、アロマセラピーの世界で、ハイドロソル、ハイドレイトと呼ばれています。以前は一括して「フローラルウォーター」と呼ばれていましたが、その頃はラベンダーやローズ、オレンジの花など一部のものしか製品になっていませんでした。
過去に使われていたフローラルウォーターという言葉は、花以外にも多くの種類の蒸留水が副産物として作られるようになった今、時代遅れの感があります。ハーブや針葉、木部、根、樹皮、種子からの蒸留水にフローラルという言葉がそぐわないので、ハイドロソルという名称が適切でしょう。
本物のハイドロソル
「フローラルウォーター」として出回っているものの中には合成成分で作られたものがあり、それでは植物の持つ美容的・治療的特性は期待できません。
また、アルコールや他の乳化剤を用いてエッセンシャルオイルやアブソリュートを水に溶かした製品もあります。これらは天然のハイドロソルに似た香りを持ち、エッセンシャルオイルを含んでいます。しかし植物の持つ水溶性成分を含んでいないため、本物のハイドロソルの持つ生命力には欠けています。
（写真 クインエッセンスのハイドロソルは便利なスプレーボトル入り）
image copyright: Quinessence Aromatherapy Ltd
アロマセラピーでの使い方
ハイドロソルは、エッセンシャルオイルと同様、それぞれが独自の成分を含み、適した使われ方があります。フランキンセンスやゼラニウムは新しく加わったものです。個々のハイドロソルを簡単に紹介してみます。
カモミールジャーマン
肌の赤味やかゆみを緩和し、鎮静する作用があるといわれ、おむつかぶれに使われることもあります。殺菌・ 鎮静効果は貴重なものですが、このハイドロソルの土臭い香りを好まない人も多いでしょう。カモミールローマンもそうですが、香りより治療的特性で用いられることの多いハイドロソルです。
カモミールローマン
ジャーマンよりは好ましい香りで、肌トラブルを鎮める効果があるといわれています。虫さされやかゆみ、目もとのはれやくまの緩和に用いられます。
ユーカリ
すっきりとしたフレッシュな香り。鎮痛、殺菌、抗酸化効果があるといわれ、虫さされや小さな切り傷に。ペパーミントと混ぜて、リフレッシュ用のマウスウォッシュにも使われます。
フランキンセンス
フランキンセンスの精油が持つ、古代を思わせる樹脂の香り。肌の透明感と質感を改善する効果があるといわれ、すべての肌タイプに適しています。精油と同様、肌の弾力性を維持するのを助け、特にエイジング肌に向いています。
ゼラニウム
女性的なかわいらしい香り。肌と心をリフレッシュするフェイシャルローションとしてすぐれています。ゼラニウムはバランスを整える力があり、すべてのタイプの肌のバランスと水分を整えます。更年期ののぼせやほてりにも。
ラベンダー
ラベンダーのハイドロソルは、ラベンダー精油に含まれるすべての治療的特性を備え、特に日焼けや切り傷に使われます。
メリッサ
長くてつらい長時間の移動を伴う旅行のリフレッシュに最適。レモンのような香りのこのハイドロソルは、いつでもどこでも気分を明るくしてくれます。
オレンジブロッサム
ボディ、フェイシャルローションとして、肌を保湿しバランスを回復します。ネロリのすばらしい香り。
ペパーミント
クールな香りで、いつでもリフレッシュし、気分を爽快にしてくれます。脚の疲労や痛み、ほてりにも特によいでしょう。
ローズオットー
すばらしいローズの香り。フェイシャル・ボディローションとして香りを楽しみ、気持ちを明るくしてくれます。
ローズマリー
精神的な浄化や活力が必要な時に。オイリー肌のローションやヘアケアにすぐれています。洗髪後の髪に使うと、健康で輝く髪を育てます。
ハイドロソル豆知識
ハイドロソルの香りはエッセンシャルオイルの香りと同じとは限りません。これは含まれる化学成分が違うためです。たとえばカモミールジャーマン/ ローマンのハイドロソルの香りは土臭くムスクに似た感じがしますが、これはエッセンシャルオイルとまったく異なる香りです。一方、ローズオットーやオレン ジブロッサム、ゼラニウムのハイドロソルは現植物の花に近い美しい香りです。
中世の時代まで、蒸留技術は貴重な芳香水を作るために用いられ、同時に抽出されるエッセンシャルオイルにはほとんど注意が払われませんでし た。エッセンシャルオイルも使われていましたが、それは蒸留ではなく、植物の成分をベジタブルオイルに浸出させて吸収させる形で使われていました。エジプ ト人、ギリシャ人、ローマ人は、治療や美容目的に、浸出油や軟膏とともにハイドロソルを多用していたと知られています。
のちに、エッセンシャルオイルがより一般的になり、ハイドロソルの使用は後退しました。20世紀初頭までハイドロソルの効用はほぼ無視され、エッセンシャルオイル抽出時にできる貴重な蒸留水は捨てられていたのです。
（蒸留設備）image copyright:Quinessence Aromatherapy Ltd
ご注意・ご案内
アロマセラピーは、医療・治療行為ではありません。この記事はクインエッセンス社のニューズレター・サイトを参考にまとめた教育・研究目的のものです。精油などのご使用に際しては、自己責任に基づいて行われるようご注意ください。
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