== Neroli (植物学名 Citrus aurantium) ==
ネロリの精油はビターオレンジ(Citrus aurantium sub.sp amara) の木の花から抽出され、女性にも男性にも好まれる美しい香りです。ローズやジャスミンと同じく、ネロリはそれ自身完全な芳香であり、世界で最も評価の高い香水の一つ、”オー・デ・コロン”の中核となっています。
ビターオレンジは東南アジア原産で、のちに北東インド、ミャンマー、中国に広がり、やがてアラブの商人を通じてアフリカ、アラビア、シリアに伝わったと言われています。これらの地域からムーア人により地中海地域に運ばれ、12世紀末までにスペインのセビリアで栽培されるようになりました。
<名前の由来>
ネロリという名前で呼ばれるようになった由来は正確には証明されていませんが、17世紀のイタリアで、ネローラ公国のアン・マリー公妃が、ファッショナブルな香りとして上流社会に紹介したという言い伝えによります。公妃はこの香りを入浴時に使い、また、文具やスカーフ、そして有名な手袋にも香らせました。この香りはのちにネローラ公妃の名から、ネロリと呼ばれるようになりました。
<香りの宝庫>
ビターオレンジの木は小さな常緑樹で、栽培種では3メートル、野生種では6メートルほどの高さになります。なめらかな茶色の幹に丈夫な枝と軟らかい小枝をつけます。スイートオレンジに比べ、より直立型の樹形で、花冠は小ぶりです。
緑色の小枝と広い卵型の厚い葉からは大量のエッセンシャルオイルが採れ、プチグレンの精油がつくられます。黄橙色の実の果皮からは冷温圧搾法でビターオレンジの精油がつくられます。まさに香りの木です。
<大切なタイミング>
チュニジアでは4月から5月にかけて花が咲きます。5枚の花びらと24のおしべからなる魅力的な香りの花が房状につきます。美しい香りのオイルにくわえ、花蜜をつくりがミツバチを引き付けます。オイルの含有量は花が開くにつれて増加します。
花のつぼみは通常、朝開き始める直前に摘み取られます。しかし暖かく天気の良い日に限られます。曇った湿気の多い天気はオイルの香りに悪影響を与えるからです。つぼみが正しい時期に収穫されることがとても大切なのです。なぜなら収穫が早すぎるとオイルの採取量が少なく、香りも”グリーン"な基調になり好ましくありません。
逆に、つぼみが開きすぎると、蒸留所に運ぶまでの間に、貴重で不安定なオイルが拡散されてしまいます。収穫が早すぎても遅すぎても、精油の香りや価値にダメージを与えます。
ネロリの精油は、アルジェリア、エジプト、フランス、ハイチ、イタリア、モロッコ、スペインといった多くの国でも作られますが、フランスとチュニジアでつくられるオイルが最も洗練され値段も高くなります。クインエッセンスではチュニジア産のエッセンシャルオイルを扱っています。
<準備と抽出>
蒸留所に運ばれる前に、摘み取られたつぼみは注意深くより分けられ、紛れ込んだ葉や小枝、他の植物の破片などを手で取り去られます。原料にこれらのものが混じっていると、精油の質が低下し、高価なチュニジアのネロリに要求される質を満たせません。
精油の抽出は、低圧の冷水蒸留で行われ、薄黄色フルーティでフローラルなすばらしいフレッシュな芳香のオイルがつくられます。蒸留過程で精油の20%までが水に残り、これは溶剤抽出法により再度抽出され、「オレンジフラワーウォーター・アブソリュート」として知られています。
これは原料に主に水溶性成分が含まれているため、香りはあまり花のようとはいえませんが、香料産業でよく使われています。花から溶剤抽出法で採取したものは、暗いオレンジ〜茶色をした粘り気のあるアブソリュートで、濃厚で暖かくフローラルな香りが花の香りに最も近いといえます。これは、オレンジブロッサムまたはオレンジフラワー・アブソリュートと呼ばれています。
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オレンジの花
つぼみを収穫
円熟した蕾をチェック
蕾をひとつひとつ、
手で摘み取ります
集めた蕾をより分け、
袋に入れて蒸留所に
運びます
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