アロマセラピー資料館
オイルのプロフィール 「ヴェチバー」
Vetiver (植物学名 Vetiveria zizanoides)
ヴェチバーはレモングラス、シトロネーラ、パルマローザと同じイネ科に属し、古くから多様に用いられたと記録されています。インドなど一部の国では、香料としてローズより前から用いられていたようです。 Vetiveria zizanoidesは密集して直立して生える多年性の草で、熱帯地方全域に生育しています。野生では垂直に伸びる強い葉が2〜3メートルの高さに達し、さまざまな土壌、気候に耐える植物です。 |
ヴェチバー image copyright: Quinessence Aromatherapy Ltd |
インド北部では、紫がかった、あるいは灰色がかった緑色の穂をつけますが、インド南部や他の多くの国では、穂のつかないタイプがエッセンシャルオイル用に栽培されています。
もとはインド原生ですが、現在はエッセンシャルオイルを抽出するためにアンゴラ、アルゼンチン、ブラジル、中国、ハイチ、日本、レユニオン島で栽培されています。インドではお香や石鹸、洗面、化粧用に国内で広く使われるため、ほとんど輸出されていません。
伝統的な使用
ヴェチバーの根は幅広い多様な特性をもち、インドでは古代からさまざまな日常品に利用され、現在もその使用は拡大しています。 乾燥させたヴェチバーの根を編んで、サンダル、敷物、ついたて、窓のブラインド、扇子、籠などが作られ、また、匂い袋(サシェ)としてリネン類や衣類にも使われています。 |
ヴェチバーの根 image copyright: Quinessence Aromatherapy Ltd |
ヴェチバーは解毒、収斂、苦味、冷却の作用があるとして、遠い昔からアーユルベーダ医学に用いられてきました。胆汁質の発熱や発汗、血の病気、口臭、頭痛、感染症、泌尿器系の病気、解毒剤に用いられるとともに、中枢神経の強壮や、抑うつ、不眠、不安、ストレスの克服にも利用されています。
古代の記録によれば、ヴェチバーは王室の香料とされていました。現在もオリエンタルな香りとして、また香りの固定剤として、高品質な香料の約30%に使用されていると推定されます。
収穫と抽出
収穫に先立ち、地面の上に出ている部分は刈り取られます。それから密集した根の部分が、機械か、柄の長いすきを使う手作業で掘りおこされます。根についた土は取り除かれ、数日乾かしてから洗浄され、短く切って、その場で蒸留するか、蒸留所に運ばれます。
抽出は水蒸気蒸留で行われ、粘り気のある茶色のオイルが採取されます。オイルはスパイシーなトーンを帯び、濃厚で、甘く、木と土の香りがします。ヴェチバーの香りは複雑で、育った場所や根の年数、抽出技術や方法により大きく異なります。レユニオン島でつくられるヴェチバーオイルは、ヴェチバー・ブルボンとして知られ、非常に洗練されていますが値段も高いです。
アロマセラピーでの使用
インドではヴェチバーは、心をリラックスさせ落ち着けるはたらきのため、「静穏のオイル」といわれています。同時に、体を強くし、滋養し、生気を回復させる力があります。結合組織を強化し、ホルモンと感情のバランスをととのえ、心と体を再生するオイルです。
ヴェチバーのもつ特性はスキンケアにも非常に有用ですが、香りが強いので、ブレンドする際には少量にしておくのがよいでしょう。それでもヴェチバーの香りが強すぎると感じたら、同じ量のサンダルウッドをくわえると、ソフトで温かみのあるベースノートとなり、保湿効果にもすぐれています。
ヴェチバーオイルは過剰な皮脂線のはたらきを整える作用があるため、オイリースキンやアクネに適しているとともに、乾燥・成熟肌の皮脂分泌を促す作用もあります。傷や肌のかゆみ、しわ、ストレッチマーク(肉割れ・妊娠線)にも用いられ、マッサージでは関節炎、リウマチ、筋肉痛にも使われます。
精神面に対しては、長期的な不安、落ち込み、ストレスにかかわる状態にすぐれた効果があります。生活環境や逆境で弱っているときに、落ち着きと強さを与え、精神をグラウンディングさせる役割を果たします。忍耐が必要な時に、集中力を導くはたらきもあります。
ヴェチバーとブレンドしやすいオイル
ベンゾイン、ベルガモット、クラリセージ、ゼラニウム、グレープフルーツ、ジャスミン、ラベンダー、レモングラス、レモン、リナロールウッド(ローズウッド)、ネロリ、パルマローザ、ローズ、サンダルウッド、イランイラン
ヴェチバー・ミニ知識
草の根の多くが水平的に広がるのに対し、ヴェチバーの根は垂直に下に伸びていく。ヴェチバーは高温に強いとともに、深く根をのばす性質により、干ばつ時にも生き延びられる。しかし、エッセンシャルオイルを抽出する場合は、高温多湿の気候と多くの日差し、そして少なくとも年間降雨量1500mmが望ましい。
ゆっくりと成長するヴェチバーの根は網状に広がり、弾力のある強さを持っている。この網状の根は、太い中央根(根茎)と、やわらかい根と、数百の細い毛をもつ枝根からなり、これらが網目状となって土壌の流出を防ぐ天然のバリアとなっている。エッセンシャルオイルは根茎と根に多く含まれ、葉にはほとんどない。
ヴェチバー(Vetiver)という名は、タミル語のvettiveruに由来するといわれている。vettiは掘りおこす、verは根という意味。
この記事は許可を得てクインエッセンス・ニューズレターから一部を翻訳したもので、英語原文の著作権はクインエッセンス・アロマセラピー社に属します。
written by Jeoff Lyth, Copyright © Quinessence Aromatherapy Ltd
<ご注意>
アロマセラピーは、医療・治療行為ではありません。クインエッセンス・ニューズレターおよび翻訳文に記載される記事は、教育・研究目的のものです。精油などのご使用に際しては、自己責任に基づいて行われるようご注意ください。
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