アロマセラピー資料館
オイルのプロフィール 「ペパーミント」
Peppermint (植物学名 Mentha piperita)
ハッカ属には20以上の種類、ケモタイプも多様であるが、ほとんどの種類は香りのある葉をもっている。そのうちMentha piperitaとMentha arvensisから抽出されたオイルだけが、鋭くさわやかなでなじみのある”ペパーミント”の香りがする。
ペパーミントはシソ科ハッカ属の多年草。50〜76センチの高さまで、なめらかな茎がまっすぐに立つ。葉は暗緑色で、のこぎりのような切れ込みの入った楕円形。地下に走根を広げて繁殖し、カーペットのように群生を作る。花は紫色で穂状に咲く。
Mentha piperitaにはいくつかのバリエーションがあるが、広く栽培されているのはホワイトペパーミント、ブラックペパーミントといわれる2種。ホワイトペパーミント(小柄で白い花)はかつてハーバリストに好まれ、ドライハーブの束で売り買いされた。ブラックペパーミントが主に精油の原料としてつかわれる。こちらのほうがより丈夫で、採取率が高い。
伝統的な利用法
中国、日本、エジプト、インド、ギリシャ、ローマ、その他ヨーロッパの国々で、薬やフレーバーとしての利用が記録されている。ギリシャとローマでは、人々はミントの冠をかぶり、宴席ではテーブルを飾り、ソースやワインのフレーバーとしてつかわれた。ローマ帝国のナチュラリスト、プリニー(23-79A.D.)は、学者たちに集中力を高めるためにミントの冠をつけるようアドバイスした。
民間療法では、ペパーミントは主種多様な症状を癒すために数千年にわたり利用されてきた。頭痛には額にペパーミントの葉を擦りつけ、また、関節炎、リウマチ、筋肉の痙攣に用いられた。
ペパーミントの浄化・殺菌作用は、喘息や気管支炎、副鼻腔炎のような呼吸器系のトラブルに対して適用された。ペパーミントティーの効果は、昔も今も、消化不良、胸やけ、膨満、疝痛、吐き気に対して高く評価され、咳や風邪、熱にも用いられる。
収穫と抽出
葉に含まれるオイルの量が最大になったとき、通常花が満開になったときに収穫される。この時期が近付くと、専門農家は日々主要成分が最高水準になるときをテストし、正しい時期に収穫を行う。
収穫後、抽出前に葉を部分的に乾燥させる。葉に過剰な湿気があると抽出過程に問題が生じ、採取率が下がることにつながるためである。エッセンシャルオイルは水蒸気蒸留法で葉から抽出され、薄い麦藁色のオイルは清涼なミントの香りがする。
アロマテラピーでの利用
ペパーミントの用途は多岐にわたる。すっきりさせ殺菌する作用は、特に頭痛、片頭痛、花粉症、鼻腔のうっ血、風邪や咳に適している。
ペパーミントの香りの吸入は、車酔い、時差ボケ、一般的な疲労の緩和を助け、マッサージは過敏性腸症候、消化不良、疝痛、胃痛、吐き気、下痢など消化器系の不調に用いられる。 アップリフトでさわやかな香りは集中力の低下や精神的な疲労、イライラ、決断力の欠如、物忘れ、ショックなどの感情的な状態にも適している。
ペパーミントは適用範囲が広く効果的な精油であり、アロマテラピーで欠くことのできないオイルである。しかし、非常に強いので、使う量はごくわずかで十分である。
粘膜に刺激を与えるので、目や鼻など敏感な部分は避ける。また、3歳未満の子供には使用せず、原液は赤ちゃんの鼻から離しておくよう気をつける必要がある。
この記事は許可を得てクインエッセンス・ニューズレターから一部を翻訳したもので、英語原文の著作権はクインエッセンス・アロマセラピー社に属します。
written by Jeoff Lyth, Copyright © Quinessence Aromatherapy Ltd
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